頭が割れていて血だらけだったけど、こいつは陸上部だった松島だ。
今まではみんなゆらゆらと動きも遅かったのに、その速さはまるで100メートル走をしてるかのようで。
後ろを見ると正人や美織が追い付かれそうな勢いで、俺は走るのをやめた。
どう考えても逃げ切れない。
「俺が相手をするからお前たちは先に行け」
「じゅ、潤?」
「いいから早く!そのまま行けるところまで全速力で走るんだ。いいな?」
正人と美織の背中を押して、俺は走ってくる松島を待ち構えた。
武器はない。
出刃包丁は図書室で折れてしまった。
素手でどれだけやれるか分からないけど、やるしかない……!
松島は俺を見つけるとニヤッと笑って鉄パイプを振り上げた。
ガシャン!とコンピューター室の窓が割れて、
どうやら室内の窓なら簡単に割れるらしい。
……って、今はそんなこと考えてる場合じゃないけど。
もう一度鉄パイプを振ると次は壁に当たって。
走るという能力は残っていても方向感覚や思考は残っていないらしく、これだったら素手でも勝てるかもしれない。



