「ちょっと本気?もっと冷静に考えたほうがいいよ!」
渡辺が俺たちを必死で止めようとしていて、それを見た日野沢がクスリと笑う。
「今村さんとふたりきりになるのがそんなに不安なの?」
渡辺は図星という顔をしていて、今村は窓に息を吹きかけて意味不明な絵を書いて笑っている。
……精神が崩壊すると人ってあんな風になるんだな。
可哀想だけど、俺にはどうすることもできない。
「べ、べつに不安じゃないわよ!心配して言ってあげたのに襲われて死んでも知らないからね!」
なぜか渡辺はひとりで怒っていて、また日野沢がバカにしたような目で見ていた。
「じゃあ、行くぞ」
諏訪野を先頭に俺と美織と正人と日野沢は再び暗闇の廊下へと出た。