はじまりのアリス



久米岡の手には銀色のノコギリ。

それを美織に振り下ろそうとしていて、俺はとっさに久米岡にタックルして押し倒した。


「逃げろ美織!」

こんなことで動かなくなるはずがなく、すぐに久米岡は立ち上がった。


上には田上。

江口も矢澤もゆらゆらと揺れていて、今にも襲いかかってきそうだ。


たしかアリスは9人だって言ってなかったか?

この広い校舎でなんでここに4人もいるんだよ?


……偶然?

それとも俺たちがここにいるって知ってて集まってきたのか?

だとしたら誰が……いや、今はそんなこと考えてる場合じゃない。


ギギギィィィ。

久米岡がノコギリを床に擦りながら、それを大きく振る。


「美織、危ないっ……!」


俺は美織の身体を覆って頭を下げさせた。

久米岡がフルスイングしたノコギリは、そのギリギリをかすめて本棚にぶつかる。


床に膝をついた俺たちを見て、すかさず矢澤が足首に噛みついてきて、俺は思いきり蹴飛ばした。