はじまりのアリス



俺と美織の思考が停止する。


――ギィィィィと金属を床に擦りつけてるような音。

それはだんだんとこっちに近づいてくる。


「潤……」

「しっ」

息をするのも躊躇うほどの緊張感。


ギギィィ……ギギギィィィ……。

嫌な不協和音。


美織を俺の背中で隠して、本棚からそっと顔を覗いた。


……そこには静けさしかない。

図書室の本棚は全部で6列。

中央の本棚を囲うように壁にも本がたくさん並べられていて、俺たちがいるのは4列目。


スタ……ペタ。ギギギィィ……スタ……ペタ。

金属音に混ざって聞こえる足音が奇妙だった。


「もしかして杏理や正人くんや教室にいた誰かが来たんじゃ……」

その可能性もなくはない。

だけどこの足音はなんだ?

靴音にペタッと湿ったような音。


〝きゃはははは〟

何故かその時、アリスの顔が頭に浮かんで。


そういえばアイツも同じ音がした。


……そうか。裸足なんだ。

片方は靴、もう片方は裸足。

と、いうことは……。


「美織ヤバいぞ。早くここから出ないと……」

……ポタ。

美織の手を掴んでドアまで走ろうとすると、頬に冷たいなにかが当たった。

それは頭上から。