「ハア……ハア……美織こっちだ」

「う、うん」


食堂には斎藤の他に数人の変わり果てたクラスメイトたちがやって来て、俺は美織の手を引いて全力で走った。


「とりあえずここに隠れよう」

身を潜めたのは図書室。

ここは本棚が沢山あって死角になりやすいし、
このまま走り続けても逆に目立って狙われるだけ。


「……正人くんや杏理は大丈夫かな……」

食堂を出る時は一緒だったのに途中ではぐれてしまった。


襲ってくるクラスメイトよりも日野沢とふたりきりでいる正人のほうが心配だ。

正人は日野沢に好意を寄せてるから見えてないけど、アイツは危険な匂いがぷんぷんする。


ポケットからスマホを出して正人と連絡を取ろうとしたけど、圏外だったことに気づいてスマホを床に投げつけた。


「……くそっ!」

焦りで、心に余裕がない。