――ガシャンッ!!

その時、どこからか大きな音がした。


「来ないで。いやあああ!」

校舎に響く古澤の声。


そうだ。のんびりこの場所に留まってる場合じゃない。

ゲームはもうはじまっている。


「どうするの?これ本当にいらないの?」

日野沢が俺を煽るように凶器を見せた。


「……っ」

俺はペティナイフを奪って、それを美織に渡した。


「護身用だ。大丈夫。絶対使わせないから」

美織の手を血で染めさせるわけにはいかない。


「それから正人も」

俺は万能包丁を正人の手に。


「つ、使えねーよ、俺……」

「使わないために持っておくんだよ。お守りみたいなもんだ」

ふたりの手に渡し終わった俺は一番鋭い出刃包丁を手に取った。