はじまりのアリス



「こんなこと潤に頼むなんて重荷にしかならないけどさ。俺は襲われるより自分が襲っちまうほうがずっと怖いんだよ」


優しさが通用しない世界。

自分で言った言葉がブーメランのように返ってきた。


もし、本当に正人や美織が襲ってきたら?

俺は勝つためには殺るしかないなんて覚悟ができるのか?

ムリだ……ムリに決まってる。


と、その時、誰かに見られているような強い視線を感じた。


後ろを振り返っても、そこには暗闇の廊下が続くだけ。


どこだ?

視線はどこから?

2階の渡り廊下の向こう側。

窓から見えるもうひとつの校舎に目を向けると……。


そこには黒いフードを被った影がこちらをじっと見つめていた。