はじまりのアリス



襲ってくるということは仲間ではなく敵だってこと。

いくら操られていると言っても立場的にはアリスと変わらない。


田上が沢田に殺られたように、きっと逃げなければ、抵抗しなければ、勝たなければ、自分が殺される。

そうしたら次は自分がオモチャになるのだ。


「……俺にはできねーよ。友達を殴ったり武器を持って戦うなんてことはさ」

正人の手が震えていた。


正人は誰よりも優しい。

だけどここではそれが通用しない。

そんな残酷で酷い世界に俺たちはいる。


「でもそれじゃ、大切な人を守れない」


守るためには勝たなきゃいけない。


「好きなんだろ?日野沢のこと」

腕を組んで歩く日野沢と美織を見た。


正直、日野沢に惹かれる理由が分からないけど、正人の気持ちを否定する資格なんて俺にはない。

それに日野沢を守るという口実で戦う姿勢になってくれないと……正人は自分のことも守ってくれなそうだから。