それはアリスが持っていたアルコールランプで、その炎が川島の身体を包む。
「……イヤ……あ、あつい……!」
それは一気に燃え上がって、床に染みた硫酸を通じて炎は横田の元へ。
「うう……う……う……」
横田も床に倒れたまま炎に飲まれて、暗闇だった理科室がオレンジ色になった。
「きゃははは。硫酸で溶けて死ぬより炎に包まれて死ぬほうが美しいでしょう?」
アリスは目をキラキラと輝かせて、まるでテーマパークのイルミネーションを見るかのように川島と横田の炎を見つめてうっとりとしていた。
理科室に焦げた匂いが充満する。
人が焼ける匂い。
それはとても鼻を塞ぎたくなるほど独特な匂いで、理科室の火災報知器がやっと稼働して天井のスプリンクラーから水が出てきた。
炎は灰色の煙に変わって、匂いと一緒に俺の肺の中へ入った。
……気持ち悪い。
吐きそうになりながら炎が消えた先を見ると、ふたりはもう人の形をしてなくて。
そこには真っ黒になった物体だけが残っていた。



