はじまりのアリス



女子たちが後退りするけれど、ドアは開かない。


俺の記憶が確かならば、有栖川をいじめてる時、人形にもヒドイことをしていた気がする。

わざと頭を踏んづけたり、「きもーい」と言ってゴミ箱に捨てたこともあった。

そのたびに有栖川は「やめて」と人形をかばっていたけど、それでも今村を含めたクラスメイトたちは止めずに、人形の首をハサミで切って有栖川の机の上に置いたこともあったっけ。


「ねえ、見て。この傷。華ちゃんがキレイに縫ってくれたけど、私すごく痛かったのよ?」

アリスはそう言って自分の首を指さした。


そこには糸で縫われた跡。

アリスはまたふわりと浮いて、そのまま女子たちに近づく。


「こ、こっちに来ないでよ!」

「まさか私たちに同じことをする気?」

川島と横田が震えながらもアリスに向かって叫んだ。


「勘違いしちゃダメよ?私は別にゴミ箱に捨てられても首を取られても構わないの」

「………」

「でもね、私の首を縫うとき華ちゃん泣いてた。ごめんねごめんねって全然わるくないのに謝りながら」


アリスはその時の光景を思い出したのか少し眉を細めてうつ向いた。