「ねえ、怖くない?アドレスも完全に自分のと同じだし、それって誰かに乗っ取られてるってことだよね?」
「怖いっていうか、ただのイタズラじゃないの?」
「そんなことより、みんな集まったんだから肝試しでもして帰ろーぜ」
クラスメイトたちの反応は様々で。なんだか気持ち悪いと顔を青くしてる人もいれば、他人事のように爪をいじってる人。
それからこの非日常のような出来事を楽しもうとしてる人までいる。
「つーかさ!お前らなんでムカつかねーの?こんな意味不明なメールを送ってきて俺らを呼び出した犯人を探すのが普通じゃね?」
バラバラな意見を言い合うと、いつもクラスのリーダー格である諏訪野(すわの)が高圧的にみんなを睨む。
諏訪野はいわゆる不良で、こう言われてしまうと怖くて、誰もなにも言えなくなってしまう。
確かに俺も犯人は気になる。
呼び出されたのは俺たちのクラスだけだし、イタズラだったとしてもなんの為に?
ただの暇潰し?
それにしては手が込んでるっていうか……。
人のアドレスを乗っとるなんて、簡単にできるはずがないし。
隣では美織が俺の手をギュッと握っている。
「大丈夫?」
「……う、うん」
美織は恐怖で怯えてるっていうのに、こんな状況でもそんな顔が可愛いと思ってしまう俺はかなり重症だ。