はじまりのアリス



キッカケはそうだったかもしれない。

あの日から有栖川は暗くて地味なだけではなく、立場が低くていじめても大丈夫な人に変わってしまった。


ひとりがキモいと言えばまた次の人が同じ言葉を言って。

いくら罵声を浴びせても、いくら傷つけても、
有栖川は逆らわないし言い返さない。

だからみんな、加減が分からなくなっていた。


「諏訪野は行きたいって立候補したんだし、4人の内ひとりは諏訪野で決定ね」

「なんでお前らに決められなきゃいけねーんだよ」

「あれ?もしかして急に怖くなっちゃったの?
いつも威張ってるくせに内心はビビりだったりして?」

「てめえ……」

今村たちは腕組みをしながら諏訪野を笑っている。


今は誰が悪いとか、誰がいじめてたとか言い合っても仕方がない。

早く4人決めないと時間が……。


と、その時、バンッ!!と温厚な正人が机を叩いた。


「お前たちの喧嘩ならあとでやってくれ!今は時間内に理科室に行く人を決めよう!あと5分しかない。走っても理科室までは3分かかるんだぞ!」