――有栖川華子(ありすがわはなこ)
2年1組のクラスメイトだった女子。
有栖川は大人しくて、あまり目立つ生徒じゃなかった。
だけどその容姿や些細なことをからかわれるようになって、簡単にいえば有栖川はいじめに遭っていた。
悪口や嫌がらせは当たり前。
それがだんだんとエスカレートしていって、有栖川をいじめることでストレスの捌け口にしていた奴らは大勢いたと思う。
椅子に腐ったバターを塗ったり、カバンの中にゴミを詰めたり。トイレ掃除をした水を頭からかけられたりもしていた。
男子も女子も有栖川を〝人〟として扱ってなくて。
そのいじめに加担してなくても、ただ見ていることしかできなかった傍観者の俺も、きっと有栖川を傷つけたひとりになるんだろう。
あの時だってそう。
有栖川が教室のベランダから落ちた時だって……。
『残念だけど私は〝華ちゃん〟じゃないわ』
アリスは有栖川のことを華ちゃんと呼んでいて、随分と親しいらしい。



