「ま、待って!この教室にいれば安全なんでしょ?今はむやみにここから出ないほうがいいと思う!」
そう声をあげたのは学級委員長の渡辺だった。
黒いメガネでいつも机に向かって読書をしているような女子だけど、物静かなタイプではなく自分の意見をちゃんと主張するから、たまに諏訪野と対立したりする。
「はっ、相手はゲーム感覚で人を殺すようなヤツなんだぞ?そんなヤツが言った言葉なんて信用できるか」
「……そうだけど」
「いたいヤツは教室に残ればいい。でも俺は自分のしたいようにする。だからいちいち指図するな」
結局、諏訪野と一緒に放送室に行くことになったのは田上と江口。
ふたりは普段でも諏訪野の近くにいるけど友達というより逆らえないって感じだ。
「……あとはだれも行かねーのか?」
諏訪野はバットを肩に乗せた。
「……俺も行く」
迷った末に俺も名乗り出ることにした。
じっとして考えるより、今どんな状況でどんなことをしなければいけないのか、ちゃんと把握しておきたいと思ったから。
「潤、マジで行くのかよ?」
「危ないよ……」
正人と美織が俺を止める。
美織の傍を離れたくないけど、こんな理不尽なゲームなんてすぐ終わらせたほうがいい。
「正人、美織を頼む」
「……分かった。気をつけろよ」



