シーンと静まり返る教室。
「くそっ。ふざけやがって!」
ガンッ!!と勢いよく机を蹴ったのは諏訪野だった。
拳を固く握りしめながらどうしようもない苛立ちを物に当たっている。
恐怖で泣き出している女子もいて、俺もただ立ち尽くしているだけ。
そんな中、この雰囲気とは真逆な声で日野沢が長い爪を触りながら言う。
「そんなに取り乱さないでさー、冷静に考えなよ」
「あ?」
諏訪野が日野沢を睨む。
「だから、この放送はどこから流れているのかって話」
……そうか。放送室だ。
つまりアリスと名乗るヤツはやっぱりこの校舎の中にいて、戸惑う俺たちを監視して笑っているのかもしれない。
「早く捕まえてって言ってるんだから、さっさとやっちゃえばいいのよ。それに声は小さな子どもみたいだったし、みんなで行けばすぐに終わると思わない?」
日野沢の言っていることは間違いではない。
でもあの光景を見ていないからまだ冷静でいられるんだ。
クラスメイトたちを一瞬で殺して、そしてなんらかの方法で持ち去った。
子どもひとりでできるはずがない。
安易に考えるな。もっとちゃんと話し合ってから……。
「よし、俺が放送室に行ってくる」
頭に血がのぼっている諏訪野が教室のドアに手をかけた。



