なにかがオカシイ。

ずっと誰かに見られてる気がする。


冷たい風。大きく怪しく威圧する夜の校舎。

ざわざわと胸騒ぎがして落ち着かない。


「潤、怖いよ……」

隣で美織が怯えた顔で俺の腕を掴む。


……なにがオカシイ。


オカシイのはこの非日常の雰囲気と……。

あともうひとつ。


ずっと握ったままになっていた右手の拳を静かに開いた。


〝となりのわたしをころして〟


グシャグシャになった小さなメモ用紙に書かれた文字。