はじまりのアリス



その武器たちはビュンビュンと風を切るように部屋を交差する。

ふたりがお互いを守りながら床に伏せる姿を見て、アリスは可笑しくて仕方がないと高笑いをしていた。


ビュンッ、ビュンッとナイフは目で追えないほどの速さで、ふたりの身体を少しずつ傷つけていく。

助けに行こうと前に出たけど、武器が行き交う部屋はまるで台風のように渦を巻いていて。

一歩足を踏み入れただけで肩にスッと切り傷ができた。


「……っ。もういい加減にやめろ!お前の目的は復讐だろ?有栖川をいじめてた奴らはみんな死んだ!お前の望みどおりになったじゃねーか!だからっ……」


俺が叫ぶとアリスのゾクッとするような目。

直視し続けたら深い闇へと吸い込まれてしまいそうなほど。


「私の望みどおり?ふふ、きゃはははは!全然まだよ!全然足りない!もっともっと私と遊んでくれなくちゃ!」


この時俺は初めて分かった。

この人形の目的は復讐なんかじゃない。

こんなのはただの遊びなんだ。

暇つぶしでただ楽しく愉快に人を殺していただけ。