「ふふ。とっても怒ってるのね。悲しんでるよりずっとそのほうが素敵な顔よ?」

アリスがわざと俺を煽るように言う。


「お前の作り出したオモチャはもういない」

それを証拠にアリスは家庭科室でたったひとり。


「あら残念。でも平気。この場で作り出すことも可能だわ」


アリスはそう言って裁縫で使うハサミを投げつけた。

それがスッと頬をかすめて、血を流したのは日野沢。


「私ね、貴女のことも嫌いなの。その曲げない目がどうもずっと気に食わなくてね?うん。目を取っちゃおうか!」

アリスがニコニコと胸を高鳴らせている中、それをかばうように前に出たのは正人だった。


「やめてくれ……!杏理はもうボロボロなんだ!」

よく見ると日野沢は膝や足にケガをしていて。

もしかしたら正人が連れ拐われて助けにいった時にやられてしまったのかもしれない。