はじまりのアリス



嫌な冷や汗。

動悸が止まらない。


――ギシギシッ……メリ。

ドアの中央が膨らむように形を変えてガンッ!!という衝撃音と共に右側のドアに大きな穴が空いた。


……ヤバい……っ。


「正人……っ!」

一番ドアに近い場所にいた正人に手を伸ばしたけれど、穴から大量にクラスメイトたちの手が。


「うわあああ……!」

それは一瞬の出来事で正人が音楽室の外へと引きずられていく。


「……ち。私が行くから潤たちは死神を探して!」

真っ先に動いたのは日野沢。

日野沢は穴が開いて脆くなったドアを蹴破って正人を追う。


「あーくそ!面倒くせーな!」

苛立ったようにサバイバルナイフを構える諏訪野。ドアの付近には気味の悪い部位たちがウヨウヨといて。

誰かの手が俺に襲いかかってきたけど、ブスッと諏訪野がナイフで突き刺してくれた。


「てめえらはよえーから、先に行って死神を見つけてこい!」


諏訪野が喋る間にも次々と手足が弓矢のように飛んでくる。


「こ、この数を諏訪野ひとりじゃムリだ!」

「だったらお前は俺より戦えるのか?」

「それは……」

「ここで全員死んだらなんの意味もねーだろうがっ!早く行け!早く!!」

「……っ」


俺は美織の手を引きながら、音楽室に諏訪野だけを残して全速力で廊下へと出た。