はじまりのアリス



「潤。これからどうするんだよ?本当に諏訪野の言うとおり犯人なんて探すのか?」

正人は俺たちの一歩前を歩いていた。


「相手は人殺しだぞ。斉藤も久米岡も沢田さんもみんな殺された。なんなんだよ。俺たちだけでなにをしようって言うんだよ」

「………」


この中で正人は一番まともな考えを持っている気がする。

正人は犯人探しよりも脱出を優先的に考えていて、廊下の窓を開けようとしたり、窓を消火器で割ろうとしていた。

だけどガンッ!!と勢いよく消火器を当てても窓は割れない。

それどころかヒビさえ入らない。


オカシイのはこの状況のはずなのに〝窓なんて割れるはずがない〟〝脱出なんて不可能だ〟と頭の中で誰かが囁く。

気持ち悪い。

なにが気持ち悪いのか分からないほど、気持ち悪い。


「潤……大丈夫?」

俺の顔を見て美織が心配そうな顔をしている。


美織だけはなんとしても守らなきゃ。

そんな使命感だけはちゃんと残っていた。