ふたりはギリギリで渡り廊下の前まで到着した。
「ハア……ハア……」と渡辺の息づかいが遠くの俺たちにまで聞こえてくる。
「今村さんっ。早く走って!ここを渡ればすぐB校舎だから……っ」
今村はケラケラと笑うだけで、やっぱり状況が理解できていない。
運動が苦手な渡辺にとって、今村を引っ張りながら走るのは相当大変だっただろう。
「もう少しだ!まだ間に合うから早く!」
正人が大声を出す。
俺たちもあと少し。
あと少しで渡り廊下に……。
と、次の瞬間。
渡辺と今村の背後に黒い物体が。
ゆら、ゆらっと奇妙に動いてしかもそれはひとつではなく、ふたつ。
まるで黒いカーテンを被せたような〝なにか〟は渡辺と今村を追っている。
……なんだあれは?
人の形はしていない。
だけどよく見ると手足のようなものが付いていて、前を向いているのか後ろ向きで歩いているのかさえ分からないほど、本当に真っ黒だ。
それを見てピタリと足を止めたのは、今村だった。



