カノンの言葉のハードルは私にはかなり高くて、期待には応えられそうもない。
「カノン...。
私にはいろいろ無理だ。
うん、人間出来ない事もあるんだよ。」
「なんで急に悟り開いたみたいになってんのよ。」
「私の頭の辞書には不可能という文字しかないのだよ。」
「すごい役に立たない辞書ね、それ。」
「私は今、情緒不安定なの。これ以上私の恥ずかしい醜態を暴かないで。」
「ん、わかった。」
「ありがとう。さすが、私の親友だよ。」
「意味不明な会話は終わりにして、さっさと教室移動するよ。」
ここまでの会話を意味不明とバッサリ打ち切られた。
このバッサリ加減がまた、カノンの良いところだと思う。
私にかまわず、さっさと歩きだした花音を追って私も急いで教室を後にした。