きみの声を聞かせて




間違いない……あの背丈に、あの髪型に、見覚えのある洋服……お母さんだ。



「夏帆っ!」



とわたしに気付いたお母さんはこっちへ走ってきて、翔矢くんはわたしの手首を離すと、『速く行ってやれ』と言って背中を押してくれた。



わたしはゆっくりお母さんに向かって歩いて行くと、お母さんはわたしをぎゅっと抱きしめた。



そして耳元では何度も何度も「ごめんね、ごめんね」と謝りながらすすり泣く声が聞こえる。



そんな中、翔矢くんはわたしたちの前を通り過ぎていくことはなくて、でも後ろを振り向いても翔矢くんはもういなくて帰って行ったことに気付いた。



翔矢くん、ありがとうと心の中で呟きながら、わたしはお母さんを抱きしめ返した。



お母さんの涙が収まると、わたしとお母さんは家の中に入った。