きみの声を聞かせて




でも、この世から消えてしまいたいとは決して思ったりしない。



あの時の自分なら、もしかしたらそう思ったかもしれないけど



今は、麻美に、渚くんに



それにわたしにとってすごく大切な翔矢くんがいる。



「なぁ、夏帆。俺にはどんなに気持ちを分かろうと夏帆の話を聞いたって



結局は自分が話せなくなったわけじゃないから、分かりたくても分からない。



俺が夏帆に声を出させてやろうと思っていたって何もしてやることができない。



こうやってただそばにいることしかできないことが悔しくてたまらない」



ぎゅっと手を握るしめる彼から真剣さが伝わってくる。



そして翔矢くんは「でもさ」と言ってまた言葉を紡ぎ出した。