狩那緋side

「……自分で思い出せば?何があっても絶対、ニコには会わせないから」

そういって静歩ちゃんは歩いて行ってしまった。

《浮気はまだしも、あんなことっ……!!当の本人は綺麗さっぱり忘れてる!!》

俺は何を忘れてる…?

にぃとの間に何かあったのか…。

なら何で覚えてないんだ?

にぃとの思い出はちゃんと覚えてる。

「くそっ……!!なんなんだよっ!!」

どうすればいい?

どうしたらにぃと話せる?

早くにぃと話がしたい。

ちゃんと話して謝りたい。

繋ぎ止める言葉を囁くんじゃなくて

ちゃんと正直に心から愛をいいたい。

愛を示したい。

好きだと抱きしめてやりたい。

なのにそれも叶わない。

いや、叶えようと思えば叶えられるはずだ。

なのに動こうとしない。

家はダメだ。

きっとにぃのお母さんも事情を知ってる。

だから協力してるんだと思う。

静歩ちゃんも当たり前、協力者。

としたら一人しか残ってない。

チカちゃんだ。

でも、メールで繋がってるし

もしかしたら協力してるかも。

どうしたらにぃに会えるのか。

「はぁ……、どうやっても会えないってことか」

……いや、まだあと一つだけ残ってる。

最終手段だけど…。

追い返される確率が高い。

だけど……それしか方法はない。