ちょうど静歩は私と向き合ってるから

カナちゃんの顔は見えない。

「ん?どーしたの、ニコ?」

その声に反応して、カナちゃんが振り返った。

「にぃ……?」

「カナちゃん……」

「え、彼氏!?何で女と……!!」

カナちゃんと女の人が近づいてくる。

「にぃ、探したんだよ?」

「……関係ない」

「え?」

「もう、別れたでしょ?付き合ってもないんだから、ただの他人」

そういうと悲しい顔をした。

何でそんな顔すんの……?

「にぃ、お願い……戻ってきて」

「やだ。戻ってくるって何?別れたでしょ?静歩、行こう?」

「え、うん……」

カナちゃんのそばを通り、扉まで行こうとしたとき。

「待って、虹恋ちゃんよね?」

「……そうですけど」

「少し、私とお話しましょ?お友達と狩那緋は抜きで」

「え?」

「あ、安心して?私、あなたの迷惑になることはするつもりないわ」

そういって柔らかく笑った。

「……わかり…ました」

「ニコ!?本気!?」

「うん。話すべきだと思うんだ、きっと」

「じゃあ……席はここでいいかしら?」

「はい」

「お友達と狩那緋は適当にブラブラしてて?終わったら狩那緋に連絡するわ!」

「わかった。チカちゃん、何もしないでよね」

「わかってるわよ♪」

「ニコ、何かあったら電話するんだよ!?」

「うん!」

2人が出ていって、話を始めた。