姫恋華〜ひめれんげ〜【改稿版】

 その雷の大音声が障子を揺らす西の丸では。

「ご案じなさいなさいますな、政光さま。いずれ弟子が、ゆらさまを導きましょう」
憂い顔の政光に、“水戸のおじいさま”が声をかけた。

「賀茂よ。あれには少し荷が勝ちすぎる……」

 妹姫を案じる世継ぎの君の心に、それ以上の想いがあることを老練な陰陽師は知っていた。

 そしてこれがすべての始まりでしかないことも。

 それを頼りない娘に託すしかないことも。

 水戸のおじいさまは知っていた。