その時だった。

「す、すみません!!!!」

スタジオに居たみんなは、勢い良く開いた扉の方向に目を向けた。

「一体どうしたんだね?」

監督さんは、厳しい表情で私を見ていた。

「はい!実は今日千花ちゃんと一緒に出る予定だった細川順平君が、熱でお休みとのことで!!」

「な、なんだと!」

監督さんは、持っていた台本をその場に落とした。

って!今日その男の子と撮るだなんて聞いてないよ。

「瞬介君!そんな事台本に書いてあった?!」

「…確か書いてあったような、ないような〜」

ハッキリしてください。

でも、その人が居ないと今日の撮影できないよね?

「他に変わりの人は居ないのかね!?」

「それが、他の人たちもそれぞれ撮影があるみたいで」

「くぅ〜、なんて事だ」

「こりゃぁ、代わりの子を見つけるのに時間がかかるね」

はぁ、何か大変な事になって来たかも