「ほら、千花ちゃんは先にCMの撮影」

「あっ!」

「ちょ、ちょっと待って!」

瞬介君は、奥の方へと連れて行かれる。

(どうしよう、まだ私全然説明していない)

慌てている瞬介君の姿を見て思いついた。

「ちょっと待ってくれ」

瞬介君を連れて行こうとする人達を、私は呼び止めた。

「俺……、ここに来るの初めてだから、千花と離れたくない」

「え!」

瞬介君は、驚いた表情をしたけど、私は構わず続けた。

「それに俺、まだ将来の事とか決めていないので、読者モデルの件はまた今度でお願いします」

「…お前…」

これで、良いんだよね。私は、間違ったことはしてないと思う。

「そ、そうかね。じゃぁ今日は見ているということで」

「はい」