(でも良かった、今休み時間みたいだし)

ゆっくりと教室の扉を開けた時、目の前に男の人が立っているのに気づいた。

「ん?」

顔を上げて誰だか分かると、私の体はまた固まった。

「しゅ、瞬介君……」

学校一のクールアイドル、日向瞬介君だった。

「………、何だアイドル女か」

という言葉が胸に刺さる。

この時私は、瞬介君からは『アイドル女』と呼ばれていました。

「どいて、邪魔」

鋭い目で私を見て来る。

「ご、ごめんなさい!!!!」

すぐにその場から避ける。

瞬介君は、もう一度私の顔を見ると、何も言わずに教室を出て行ってしまった。