「ママと一緒に来たの?」
『ひとりできたよ。おねえちゃんはぼくがみえるから』
――――?
この子……さっきから何、言ってんの??
「美琴ちゃん、何か言った?」
ドアの向こうから佳奈子さんの声がする。
「あ、佳奈子さん、――。この子……誰?」
パタパタとスリッパを鳴らしリビングに戻った佳奈子さんは、不思議そうに私を見つめる。
「この子って……?」
「え、この子……」
私が男の子の方に視線を送ると、佳奈子さんも同じ方向に顔を向ける。
「……っ」
誰も、―― いないんだけど。
「え、何、どうしたの??」
「あ、あの、きょ、今日って……誰かお客さん来てるのかなって?」
「お客さん??誰も来てないわよ」
「誰も?? 今日は誰も来てないの??」
―――――!!
えっと……これは……。
どう解釈したら、いいんだろう。
不思議そうに私を見入ると佳奈子さんは私に質問を返す。
「美琴ちゃんのお友達、誰か来るの??」
「え、……来ないけど」
だって、―――。
今、いたよね? 話したよね?
「美琴ちゃんどうしたの? 熱でも出てきたのかな」
―――――。
「美琴ちゃん……大丈夫??」

