「あ……下、見て」
「下……??」
ゆっくりと視線を下ろした先。
濡れた制服のシャツが肌に張り付いて、ばっちりと下着が透けている。
「きゃああっ!!」
ばっ、馬鹿!!何で気付かなかったんだろう。
「ああ……もう」
バッグ、ずっと抱えてたからか……。
だって中身が濡れるの嫌だったんだもん。
寒かったからぎゅーって、してたし。
そんな透けてるとか先に注意されるなんて、恥ずかしすぎて顔なんて上げらんないっ……。
いやっ、キャミ着てるけどっ。
「うっ……」
半泣きの私に、藤木くんの声が重なった。
「ほら、これっ」
「……っ」
背を向けた藤木くんの手には、体操服が握られている。
「え……」
「着てない、それ。一応、綺麗だから」
「でも……」
「早く、これ着ろって」
「え、だって……」
「寧ろ、早く着てくれよ」
「……っ」
ぶんぶんと腕を揺らしながら
「……だから、早くしろっって!」
押し付けるように体操服を渡されて。
「…んっ、ありがと……」
「見てないから、シャツ、脱いで着ろよ」
「でも……っ、くしゅんっ!!」
絶妙なタイミングのくしゃみに、藤木くんは笑い出した。

