「大丈夫だよ」
エアコンがよく効いてるだろうから、入り口でブランケットを借りた。
「楽しみ」
「そう?それならよかった」
実はホラー映画が一番好き、っていうのは黙っておこう。
千暁は必ず私の左側に座る。
だから私の右側に座った吉岡に、とてつもない違和感を覚える。
「おっ、始まった」
映画館特有のにおいと暗さ、そして本編前の宣伝。
…………なんか、落ち着かない。
モゾモゾと何度も何度も座り直す。
ポップコーンを口に入れたりジュースを飲んだりしても、なんだか変。
一度、トイレに行ってこよう。
いや、ダメか。
千暁ならまだしも、今日は吉岡なんだから。

