思い通りにならない自分の体をあざ笑ってやる。




------------おまえの安いキスひとつくらい、七瀬由太にくれてやれよ。




目に力を込めて、意地だけで無理やり目をつぶってやる。

でも閉じ合わさったのは一瞬で、まるで反発し合う磁石のようにすぐに目が開いてしまう。





「崎谷さん、怖いの?」





違う。

そんなんじゃない。




そう思っているのは確かなのに。

体はあたしの意思に逆らった。




気付いたら、キスしようとしてますます近付いてきていた七瀬由太を思いっきり両手で突き飛ばしていた。




あまりにその勢いが強すぎて、七瀬が椅子から転げ落ちてしまった。

そのことに、七瀬以上にあたしが呆然としてしまう。