渚の手を思いっきり引っ叩いて払い落としてやると、あたしは自分を守るように自分の体を両手で抱いて、馬鹿とか変態とか最低とかスケベとか、思いつく限りの貶し言葉を目の前の渚に投げつけてやる。

けど半分パニックになってるから小学生の口喧嘩レベルの語彙しか出てこない。


あたしはほんと心底びっくりして、恥ずかしくて、訳がわからなくて、ムカついて、ショックでいっぱいいっぱいなのに、こんな場所で人様の胸にいきなり触りやがった渚は、にやって悪い笑みを浮かべて余裕な顔して言ってくる。


「おまえさ。自分から男に手で抜いてやるとかデカい口叩いておきながら、おっぱい揉まれたくらいでそんな目うるうるさせて顔真っ赤にしてるとか、マジでウケるわ。一生懸命ビッチなフリしても、その態度じゃ男慣れしてねぇのバレッバレだろ」


屈辱と恥ずかしさで、視界が一瞬真っ赤に染まった。そんなあたしをよそに、渚はどこか楽しげに笑いかけてくる。


「まあでもよかった。安心したわ。おまえもしかしてマジでビッチで、可愛いのはほんと顔だけなのかよってちょい疑ってたけど。スレてんのは口先だけで、中身は全然真っ白じゃん?今の処女感丸出しの反応、すげぇ可愛いかったわ」

「………………死ね。死ねッ死んじゃえ、渚の馬鹿ッ!!」



もう信じられない。
こっちはマジな気持ちでバイバイ言ったのに。



「待てよ、ニカ」
「あたしはニカじゃないッ」



なんなんだ、この無神経。なんなんだ、このど変態。
こんな場所で女の胸揉むとか、こんなタイミングでからかってくるとか、渚マジで最低すぎだ。