「俺ね、愛さんが持ってたスナップ写真も、この前渚の家で見せてもらったんだ。星流祭の打ち上げで、愛さんたち後星会メンバーと写ってるやつ。……崎谷さんが成星院の生徒会メンバーだったときの頃の写真」


どんな顔して自分が映っているのか、見なくても簡単に思い浮かべられる。


「崎谷さん、渚みたいな感じだったんだってね。すごく美人で頭良くて、いつもまわりに人が集まってて」


あの頃あたしは生徒会執行部のメンバーにも推薦されて、とにかく毎日が充実してた。楽しくて楽しくて、きっと自分で思う以上に図に乗っていたんだと思う。



------------周りの女子たちが叩き潰してやりたいって思うくらいに。



「写真、すごいきれいでほんとびっくりした。最初見たとき、教室にいるときの崎谷さんとは同じ人には見えなかった」
「………笑えなかった?あの頃、自分でもすごい調子こいてたと思うし。別人っしょ?」


カラカラに乾いた笑みで、どうでもよさそうに自虐してみると。テーブル挟んだ向かい側で、七瀬のいつも笑っているようなやさしげな顔が不意に真顔になった。


「でも俺は気付いたよ。……渚より先に、崎谷さんがあの時のドロシーだって」


あたしのことを暴いた七瀬は、あたしを射抜くような目で見てくる。


「………どうしてこんな話するの」


せっかく家を出て、成星院学園の知り合いなんて誰一人いないだろうって思って進学した学校だったのに。