「……フツーにブスっしょ」

「目、節穴だろ。鏡もっぺん見て来い」

「……渚だってしょっちゅうあたしのことブス呼ばわりしてるくせに」

「今日は言わねぇし、おまえもそういう恰好してるときくらい自称やめろ」



渚がまるでそれが今日いちにちのルールだとでも言うように、きっぱりと言い放つ。



-----------なんだこのやりとり。



これじゃほんとのバカップルみたい。

あたしもなんかおかしい。渚の顔が見られない。




隣り合って並んだあたしと渚の間に、沈黙が落ちる。


だけど気まずいわけじゃなくて。なんだかむず痒くなるような沈黙だ。


産毛を撫でられるような、くすぐったさとちょっとの気持ちよさが同居したような。
慣れないけど、決して不快ではない感覚。




渚とリア先輩がデートで感じているのは、こういう感覚なのかなって。そう思わされるような、なんだかやたらとこそばゆいキモチだ。