京くらいの腕を持つ人はたぶん珍しい。 「この腕ならちゃんとしたホテルの朝食メニューに出せるんじゃないですか」 わたしが正直な感想を述べると、京はスプーンを止めて顔をしかめる。 「止せよ。俺はそんなかたっ苦しい場所で働きたくないぞ」 「は?」 わたしはポカンとして思わず聞き返してた。 「京、堅苦しいのが嫌って……学校じゃあんなにガチガチで融通が利かないのに?」 正直に生徒たちの評判を教えてあげた。 「時代遅れの石頭だとか化石とか言われてるのに!?」