愛なんてない




わたしは熱くなる目頭を押さえ、バスルームに飛び込むと熱いシャワーで洗い流した。


バシャバシャと顔を洗い、泣いてたなんて気付かれないようにする。


このシャワーを浴びたら、全て忘れよう。


昨夜の全て。京にもらった幸せな時間。


京はわたしのじゃないから、これ以上わがままは言えない。


また頑張ってアルバイトしなきゃ。1人暮らしするために、家賃やいろんな経費を払わなきゃいけないし。


わたしは意識を現実に向けて、今までの甘やかな時間を考えまいとした。