わたしの顎を掴み引き寄せ、強引に重ねられた唇。
「覚悟しろよ……おまえから求めたんだ。もう容赦しねえからな」
「……うん……いいよ」
わたしは胸元に口づけた京の頭を抱き寄せ、懸命に伝えようとした。
「わたしも……京を悦ばせてあげたいから……わたしになんでも言って。なんでもするから……」
だから、捨てないで。
わたしのなかに、あの日の情景が蘇った。
両親が亡くなった日の夜、わたしが逃げ込んだ桜の下で会った男の子の事を。
おかしいよね。
京があの男の子のはずがないのに。
それでも、わたしは京を男の子に重ねて囁いた。
「わたしを……離さないでね」