「先生……もうやだ。お兄ちゃんを忘れたい。どうしたらお兄ちゃんを忘れられるの?」 しゃくりあげながらわたしは訴えた。 ――クルシイ。 ――コンナオモイハハヤクケシタイ。 小学生からずっとずっと好きな人がお兄ちゃんだなんて、麻美にも言えるはずがない。 だから、それを誤魔化すために幼い約束を隠れ蓑にしてきた。 それもあるけど、わたしは約束の彼に淡い期待を抱いてた。 こんな地獄に堕ちるような禁忌の想いからわたしを救い出してくれるのかもしれないのだと。