「今は俺が訊いてんだ」 京はさっきまでの教師としての顔を崩した。 「なぜ、俺から逃げる?」 「は……!?」 わたしは思わず京の顔を見た。 京は、何を、言った? “なぜ俺から逃げる?” じゃあ、なぜわたしを拒絶したの? わたしは喉から出かかった言葉を息とともに呑み込んだ。 京がわたしを嫌ったから、関わろうとしないから。京に迷惑は掛けられないから。わたしから近づくまいと決断したんだ。 それなのに何を言ってるの、京?