「弥生ちゃん! 何してるの!! こぼれてるわよ」
咲子さんの怒声で、わたしはハッと意識を戻した。
いけない! また居眠りしちゃったんだ。
ポロポロと零れ落ちたスクランブルエッグを拾うと、髪をかきあげた見せた咲子さんにぶつぶつ言われた。
「まったく……私のお料理が食べられないならはっきり言いなさいよ。嫌みったらしいやり方はよしてちょうだい」
赤い珊瑚のピアスが咲子さんの怒りを表しているようで。
「ご、ごめんなさい……」
わたしは涙ぐみながら一生懸命にお皿に戻したスクランブルエッグを口いっぱいに頬張った。