「あの、部長。」 昼下がりのオフィス。 私は部長のデスクの前に立って、手を突き出した。 「ん?なんだ?」 相変わらず、仕事の時は怖い顔。 声もドスが効いてて、なんとも恐ろしい。 「これ。部屋に落ちてたんですけど違いますか?」 小声で言って、手の中のあれを見せる。 (部屋に部長が来たとか、誰かに聞かれたら面倒だしね。) 「これ…。」 「やっぱり。部長のでしたか。」 「…高坂。覚えてないのか?」