恋愛事案は内密に

午後5時をまわった。

机の書類を片づけ、書棚に戻す。

勤務表を書いて高清水さんに認印を押してもらった。

「森園さん」

「……はい」

「栗林さんのこと、知ってるんですか?」

「以前いた会社で少し」

「まさか狙ってるんじゃないですよね」

「え?」

仕事のときのにらみとは明らかに違った女の色を前面に出した顔だ。

「狙ってるだなんて、ただ前にいろいろお世話になっただけで」

「お世話?」

高清水さんが椅子から立ち上がった。

「務めてた営業と栗林さんが仲良しの流れなだけで」

「……そうですか」

「栗林さんのことが気がかりなんですか」

「べ、別に」

高清水さんは私から視線をはずした。

「何か情報があれば教えますよ」

一瞬、にこっと笑いかけたが、すぐにニコやかな顔をひっこめて能面顔に戻った。