「あやは悪くないよ。悪いのは、三十路のいい年したあの人の方だから」 私の肩に手を置いて、微妙なフォローをしたお兄ちゃん。 「はい……あげる」 「何これ?…おっ、ムースじゃん」 「琉璃ちゃんから、もらったの……」 嘘をついた。 松井くんにもらったって事は内緒にした。 私はテクテクと、智也さんのそばに歩み寄り、隣に腰を降ろした。 「…智也さん?」 「したのに……」 「え……?」 「メール、したのに……」 慌ててポケットから携帯を取り出し確認してみると、確かにメールが入ってた。