【智也side】 追いかけようとした。 全力で追いかけたかった。 「大橋先生っ……」 けど、この子に腕を掴まれて阻止されてしまった。 「行ったら……嫌です」 「でも……」 ここで追いかけないと、また気まずくなっちゃう。 「歯が…痛むんです。早く、治してほしいです……」 あまりにも縋るような。 今にも泣きそうな顔で言うもんだから……。 「……わかった。すぐ治そうね」 放っておけなかった。