でも、ごめんなさい。 今は何を聞いても言い訳としか受け取れないと思う。 「離してください……」 力いっぱい智也さんの手をふり払った。 「とにかく今日は、帰らせてくださいっ……」 「あやちゃん……」 智也さんの肩越しに、夏依ちゃんが見えた。 目が合った。 そしたら夏依ちゃんはやや強張った顔をした。 走ってその場を、逃げた。 智也さんが後を追ってくる事はなかった。