「香りに目覚めたのかな~?」 笑いながら、智也さんは私の髪の毛を指先で弄び始めた。 休憩室に、2人きり。 さっきまで櫻田先生がいたんだけど、気を利かせて2人きりにしてくれた。 「実は今日、隣のクラスに転入生が来たんです」 「そっか~」 「甘い香りがする男の子なんです」 ピタっと、髪を弄んでる手が止まった。 「へ、へー。男の子、ね……」 明らかに苦笑いして、彼らしくもない声のトーンと口調。