「あや、智也に会いたいんでしょ?だったら、今から行っておいで。今日は特別に許すから」 え……? 夜は外出禁止、なんて言ってたお兄ちゃんが珍しい。 「でも……」 「でもじゃない。俺も嫌なんだよ。いつまでも、あやが暗い顔してるのは」 お兄ちゃんは、悲しそうに顔を歪めた。 「あやは大切な存在だから、ずっと笑顔でいてほしい。けど今は、あやを元気にしてやれるのは俺じゃない。智也だけ、でしょ?」 お兄ちゃん……。 「早く行きな。あいつ、まだ医院にいると思うから」